トレーとパソコンをどう並べるか
カフェのカウンター席での出来事が印象的だった。
カウンター席は狭い。飲み物と食べ物を注文すれば、トレーで渡されるが、それを置いたらもうスペースはない。ましてやパソコンなど、横に長いものを2つ並べておけば、隣の人のスペースに入ってしまう。
隣に座った方は、まさしくその状況に直面した。実際にトレーを置いたあと、パソコンを開こうとし、気がついたようだ。
自分の前は、かなりスペースは空いている。こちらに入ってきても、ある程度は問題ないし、受け入れるつもりでいた。
その方はトレーをこちらにスライドさせた。
そして、ゆっくりと次の動作に入った。
トレーを縦にした。
このなんでもない行動にいたく感動した。
単なる我慢ではなく、どこかに、自分も快適に使えて、相手にも気分良くいてもらえる方法はないか、考え抜いたように見えた。
隣にいた自分に、少しはみ出してもいいですかとひと声かけることや、それくらい別にいいだろう、と思って広々と使うことも正解のひとつで、全く問題ない。
けれど、その解答の美しさに思わず唸ってしまった。
気遣いや配慮はとても大事だけど、そればかりでは疲れてしまう。
親切とか思いやりは意外と限界がある。
ロジカルに解決していく方が、人の気持ちに寄り添えることもあるのかもしない。
思いやって、気遣いだけしていないで、そのあと相手がどうなっているのか、まで目を向けることが大事だと。
学びを得られるいい席に座った話。