Constant dropping

PM(プロジェクトマネージャー)の日々

腕時計の話

今週のお題「2019年上半期」

 

上半期。印象に残った話をひとつ。

 

先日偶然見かけたNHKの番組。内容は、72時間ひとつの場所で定点観測を行い、そこに現れた人たちにインタビューを行う、というもの。

 

その回は郵便局の回だった。

 

一人の女性が腕時計を修理に出すために、郵便局を訪れていた。

腕が細くなってしまい腕時計のベルトが合わなくなってしまったそうだ。

 

腕が細くなったのは数年前、大きな病気をしたためだった。

 

ここまで見て自分は、「ほかに腕時計はなく、愛着があるこれを使っていたいんだな」くらいの感想だった。

 

しかし、女性は別な腕時計を身に着けていた。

 

では、なぜ修理に出すのか、と聞かれ女性は答えた。

 

大きな病気を経験し、死を意識するようになった。それ以来、時間が気になって仕方がない。だから時計はいつでも身に着けられるよう、用意しておきたい。

 

自分は、目が覚めるような衝撃を受けた。

 

毎日目にする腕時計を見ながら、自分の人生の残り時間が減っていくことなんて、意識したこともなかった。

 

朝起きて、お昼の時間になって、帰宅する時間になって、寝る時間になる。

また、朝起きると、時計は一周していて、同じようにまた一周する。

 

でも、女性が見ている時計は違う。一周しかできない時計だ。

 

そして、自分の時計はどこまで回っているのか。病気を通してそのことに気がついてたのかもしれない。

 

時計、病気、人生の時間。すべてがつながっていたように思えた。

 

この番組を見て以来、腕時計をしっかりつけていくようにしている。

 

飲み会の席で、

今何時かな、帰りのバスはあるかな。

 

これまでなら、そう考えていた。

 

今は腕時計を見ると、少し別なことを考える。

この人とも、もう会えないかもな。それならもっと楽しく気分になってほしいな。

 

結果、相手は、楽しく話しだして、帰るのは少し遅くなってしまう。でも、早く帰ってくるよりもいい時間を過ごせたんじゃないかと少し感じる。

 

上半期、本当にあっという間だった。

腕時計を見るのは、いつもイライラしているときで、見るたびに余計イライラしていた。

 

下半期は、違った気持ちで腕時計を見たい。

見るたびに、優しい気持ちになり、愛情をもって接することを思い出せるものにしていきたいと思う。

 

そんな些細なことが、時間を意識して生きるということだと、自分には思う。