おカネの教室
おカネの教室を読んだ。とても面白く、一気に読んでしまった。
おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 (しごとのわ) [ 高井浩章 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 社会 > その他
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,760円
本書は、おカネを手に入れる方法は?という簡単な問いから、経済の在り方をわかりやすく解説してくれる。先生と中学生の男女2名がおカネについて学ぶクラブで活動する中で、おカネについての解説していく、物語形式の専門書である。
このような形式は、特段、目新しいもないのだが、本書は特にこの物語が秀逸である。
一言でいえば、「ちょうどいい」
メインである、おカネについて学ぶ、ということを邪魔せず、どんどん読みたくなるような登場人物のパーソナリティであったり、ストーリー展開。おカネのことがすっきりと理解できる爽快感と、物語としての爽快感を併せ持って非常に面白い本だった。
以下、込み入った雑感。
本書では、基本的なおカネの性質(市場原理、信用創造)のみならず、筆者のおカネの流れ方に対する考え(願い)が色濃く表れている。特に印象に残ったのは、おカネを手に入れる方法はさまざまだが、その健全性にまで目を向ける、ということ。
さまざまなおカネの手に入れ方が紹介されているが、形態はどうであれ、付加価値を提供して、おカネを手に入れているかどうかが、健全性の指標であると述べているように感じた。ものづくり系、エンジニア、警察消防などはもちろん、土地の貸借もリスクを負うという形で付加価値を提供しているので、健全であると述べる。
一方、ギャンブルなどは、決して他人のお金を盗んでいるわけではないが、人間の欲望に根差したビジネスであり、この健全ではない。しかし、おカネの手に入れ方として、筋が通っている方法を、筆者は必要悪と表現する。本当に良い製品を作っている会社に、しっかりと投資にされ、より技術開発が進み、それがどんどん市場原理でさらにおカネが回ってほしいとの、ある種の願いが込められている。
これからの消費は、機能による差がつかなくなるため、意味(ストーリー性)が重要になってくる、とよく言われている。この辺と絡めても、どういったところに自分がおカネを落とすのか、正しい消費をしていくことを考えるきっかけになった。